インプラントは、歯の抜けた部分にチタン製の人工歯根を埋め込んで土台とします。
これは、インプラント治療の最大の特徴なのですが、失った歯の代わりとなる人工歯根を顎の骨に直接支持(固定)することで、ブリッジのように土台となる歯を削る必要がありません。人工歯根の上部にセラミックなどの歯冠を装着すれば治療は完了です。
しかし、インプラントはあくまでも歯の代用で、歯を不幸にも失った方のための治療です。基本は自分の歯を守ることにあります。
天然歯に勝るものはありません。
当たり前のことですが、私たちは食事する度に歯を使います。よく噛むことで味覚も高まり楽しい食事を味わうことができます。
そして、よく噛む(咀嚼)ことで唾液の分泌が高まり、口腔内を清潔に保つとともに咀嚼筋が鍛えられることから、次のような効果も期待できます。
- 【効果1】消化を助けて肥満防止に繋がります。
- 【効果2】虫歯や歯周病になりにくい口腔環境を作ります。
- 【効果3】顎の骨を強くします。
- 【効果4】認知症を防ぎ脳の活性化を助けます。
- 【効果5】顔の筋肉が鍛えられ美容効果が期待できます。
- 【効果6】味覚神経が敏感になり楽しい食生活が期待できます。
歯を失ったことにより、様々な機能障害が生じてきます。
様々な2次的な疾患を防止するため、歯を失った際に施行する治療を補綴治療と言います。
歯を失った際に行う補綴治療には、ブリッジ・入れ歯・インプラントがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
歯科医院で納得するまで説明を受け、今あなたが抱えている問題を理解した上で、どの治療が一番良いか決めましょう。
インプラント | 部分入れ歯 | ブリッジ | |
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治療方法 | |||
保険適用 | なし | あり | 制約あり |
メリット |
顎の骨に人工歯根がしっかりと固定されます。周囲の歯に依存しないため、他の歯への負担がありません。 天然の歯と変わらない噛み心地と、外観の不自然さがありません。 |
バネで周囲の歯に止めるため、両隣の歯に負担がかかります。不安定で噛む力は弱くなります。 金属のバネが目立つため、見た目はよくありません。 |
ブリッジを支えるために両隣の健康な歯を削る必要があります。支えとなる両隣の歯には大きな負担がかかります。 しかし、違和感が少なく、噛む力も回復させることができます。 |
審美性 | 優れている | 悪い | 良い |
咬合力 | 優れている | 弱い | 良い |
異物感 | なし | あり | 少ない |
残存歯 への影響 |
なし | なし | 削る |
耐久性 | 優れている | ガタつきが出やすい | 両端の歯に負担 |
手術 | あり | なし | なし |
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当院では、1991年よりインプラントを導入しておりますが、現在は「POIインプラント」をメインに使用しております。
POIインプラントは純チタン製で、以下のような特徴を持ちます。-
- 陽極酸化処理
インプラント表面に陽極酸化処理を行い、表面に酸化皮膜の層を作ることで、骨との結合を促します。 - HAコーティング
ハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)のコーティングにより、骨との結合を促します。
- 陽極酸化処理
インプラントの治療法には、1回法と2回法とがありますが、POIインプラントの場合、1回法で行うことができるため、治療期間も短く、患者さんへの負担を少なくできます。
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インプラント費用例
メタルボンド(フィクスチャー埋入手術、アバットメント装着含む) | 30万円 / 1本 |
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- 手術侵襲は抜歯と同程度です。
- 当院の手術例(1本~3本くらい / 回)では、手術の腫れは全ての方にありません。
- オペ時間 : 1本 / 約15分
インプラント治療の流れ
【STEP1】 | 【STEP2】 | 【STEP3】 | 【STEP4】 |
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専用のドリルで顎の骨に穴を開けます。 | その穴の中にインプラント体(人工歯根)を埋入します。 |
頭の部分を外に露出させておき、インプラント体と骨の結合を待ちます。 |
インプラントと骨が完全に結合したら、人工歯を装着し完了です。 |
※外科手術が1回で済みますので、患者さんの負担は少なくなります。
※およそ約2ヶ月程度で治療が完了します。
インプラントによるマグネットデンチャー
マグネットデンチャーとは、残っている歯に磁性金属を取り付け、入れ歯側に超小型磁石を埋め込んで磁力で吸着させる入れ歯です。
残りの歯の本数が少なかったり、歯そのものが弱っている場合、入れ歯を支持することができません。
そのような場合には、入れ歯を支えるためにインプラントを埋入し土台とすることで、より強固に入れ歯を固定することができます。
“インプラント” も “歯” も支えているのは骨です。どちらも歯周病にかかれば抜けてしまいます。
歯と違いインプラントは生体ではないので虫歯は生じませんが、歯周病に羅患した場合には治癒しにくいため、専門的なケアが必要になります。
インプラントを埋入したからといって、歯周病のリスクが無くなることはありませんから、日頃のケアを怠ることで、細菌がインプラントの境目から進入し、インプラント周囲の歯肉に炎症が起きてしまいます。
これを、インプラント周囲炎といいます。
歯周病と同じように骨が後退(吸収)し、改善できない場合には、インプラントを除去しなければならなくなります。インプラントに対する過大な期待は将来のトラブルの元といえるでしょう。
インプラントは誰にでも適応する治療法ではありません。
当院では、患者さんのご希望があっても、口腔環境が改善しない場合には、インプラント治療を行うことはありません。歯周病検査により歯周病と判定されれば、しっかりとした歯周病治療を行い、病状の改善を確認してからインプラント治療を行います。
お口の状態に関係なくインプラントを勧めてしまうことは大変危険です。
まずは当院までお気軽にご相談ください。